こんにちは ツナカン です。
公認心理師として
子育てに悩む保護者の方や
不登校のお子さんの
支援をしています。
新型コロナが世界中でまん延してもう2年になります。
私が勤務する適応指導教室でも
新型コロナとは無縁ではいられません。
新型コロナをきっかけに不登校という状態にも
大きな影響があります。
そこで,今回は不登校支援にあたる現場から
新型コロナが不登校に及ぼしている影響
をお伝えします。
この記事を読んでいただければ
こんなことがわかります。
1.増えたと感じる“コロナ型不登校”3つの種類
2.コロナ型不登校にどう対応しているのか
3.新型コロナがこれから及ぼす影響予測
4.家庭にお願いしたいこと
なお,今回の記事は統計的な処理などは行われていない
いちカウンセラーからの見解です。
また,私が勤務する職場や教育委員会の見解とは
異なることをご了承ください。
増えたと感じる“コロナ型不登校”3つの種類
新型コロナによって増えたり,程度が増したりしたと仮定して
コロナ型不登校
と呼びたいと思います。
このコロナ型不登校では
- 見通しがつきにくい
- 子ども自身よりも保護者の悩みが深い
というのが特徴です。
これまで経験したことのない
長期間にわたる休みになりました。
今後もどのようになるのか不透明です。
こうした状況を子どもたちは喜んでいたりもしますが
一方で,育てる親からすればこの状況の不安は大きいのです。
このコロナ型不登校の種類を大別すると
以下のように分けられます。
- ネット依存型不登校
- 燃え尽き方不登校
- 原因不明のモチベーション低下型不登校
その①:ネット依存型不登校
私が最も深刻だと考えているのはこのケースです。
国の施策による2020年春の自粛期間により
子どもたちは家にいることを余儀なくされました。
その間,何をしていたかというと
ネットゲームや,YouTubeなど
インターネットにかかわることです。
保護者が在宅であれば,ある程度目が届くのでしょうが
仕事を休めなかった状況では
子どもたちは留守番するほかありません。
その間,ネットゲームを通じて友だちとのつながりを持ったり
YouTubeなどで暇をつぶしていたりしたようです。
そうしている間に,子どもたちはネットへの依存度を高め
いざ学校が再開されたときには
ネットから離れられなくなってしまうのです。
生活リズムが安定していれば回復も早いのですが
生活リズムが乱れてしまうと回復までの道のりは容易でなくなります。
不登校か,そうでないかに関わらず
インターネット依存に関する問題は
新型コロナで増えたように感じられます。
その②:燃え尽き型不登校
新型コロナで長期休みになる前は普通に通えていたのに
急に学校に行けなくなるケースが増えているように感じます。
子どもでなくても長期休みの後に
また仕事に行くのはしんどいものです。
長期休みの間に,ふと学校生活のことを考えるのかもしれません。
そして,自分が無理をしていたことや
不満だったことなどを思い出すのかもしれません。
こうして燃え尽きたようになり
登校渋り・不登校になると考えています。
その③ 原因不明のモチベーション低下型不登校
特に気持ちを言葉にするのが難しい年齢
小学生以下には多い気がします。
私が言葉での説明を求めるからかもしれませんが
どうして学校に行きたくないのかが説明できないのです。
近くにいる親でさえもわかりません。
もしかすると長期休業で生活リズムが変わったことで
学校に行くタイミングを見失ったことをきっかけに
生活のサイクルが変わってしまう…
そんなシンプルな理由かのかもしれません。
コロナ型不登校にどう対応しているのか
このコロナ型不登校に私がどのように対応しているのか
結論を言えば
ケースバイケース・オーダーメイド
としか言いようがなく,従来の対応と大きく変わらないのですが
三つのタイプのどれにも共通する
いくつかのポイントがあると思います。
- 生活のリズムを回復させる
- 保護者の心配を和らげる
- 将来とポリシーを考える
その① 生活のリズムを整えてもらう
私の記事を読んでくださっている方には
耳にタコ?ができるかもしれませんが
生活リズムの乱れは致命的です。
リズムの乱れは心理的な乱れも起こします。
色々と試みたとしても
生活のリズムが乱れていては継続性が保てません。
子どもの状態がおかしいときにありがちなのが
- 子どもの深層心理
- 発達の偏り
- 育て方
- 学校との関係
こんなものに原因を求めがちなのです。
周辺情報として役に立つことはありますが
根本原因としては的外れていることが多いのです。
何かを最初に始めるとするなら
生活リズムが乱れていないかどうかのチェックです。
学校に行けなかったとしても
生理的なリズムがきちんと作れていれば
意欲は自然にわいてくることが多いので
生活リズムの把握 と ネットへの依存度
を最優先でチェックしネット依存度が高まっているようなら
保護者がコントロールできるように相談します。
でも今更取り上げられない!
そういう保護者さんも少なくないと思います。
ですので,お子さんと話し合う必要がありますし
そこにカウンセラーがお手伝いする余地があるのです。
詳細はこちらをご覧ください
子どもがネットをちゃんと使えているのかを見極めるポイント3つ
ネット依存になった子からネットを取り上げると起きる6つのこと
その② 保護者の心配を和らげる
先に,子ども本人よりも保護者の方が不安が強いように見える
と書きましたが
大人の方が先の見通しをつける力を持っていますから
そうなるのは当然です。
それは対応する職員も同じなのですが
その不安にどっぷりと浸かるのではなく
少し距離を置いて観察する
そんな手伝いができます。
それがどんな役にたつの?
川の中でおぼれているのと
川のほとりで水の流れを眺めている
この二つを比べてみてください。
同じ水なのに,苦しさは全くちがう
不安も同じように付き合うことができるのです。
不安と距離が取れれば冷静に物事を決めることができます。
その③ 将来とポリシーを考える
大人は将来について考え始めると
暗い見通しを想像しがちです。
このまま不登校が続いたらどうしよう
そんな風に考えた時には
子育ての中で何を大切にしたいか
をまず考えてもらいます。
子育てに一つ筋を通します。
すると,それに基づいて
お子さんに対して何をすべきか
今,何ができるのか
選択の基準が見つかります。
一方,お子さんについては
乱れた生活をしていた場合のメリットとデメリットを見つもり
それがこれからも続いた場合には
メリットとデメリットはどう変わっていくのかを考えてもらいます。
新型コロナがこれから及ぼす影響予測
では今回の新型コロナの影響で
不登校に関する現場は今後どのようになるのか
予想してみます。
当たるも当たらないも無責任な
いちカウンセラーのたわごとだと思って下さい。
- 登校日数が減る
- 教育の家庭負担が増える
- 学校の相談機能の強化
- 不登校の概念が変わる
これらは10年単位の長期スパンの予測です。
新型コロナがもたらしたオンライン化の促進によって
学校のあり方が大きく変わると考えています。
その① 登校日数が減る
安倍政権時代から
“一人一台タブレット”
と言われてきましたが
新型コロナによって勢いは増しました。
私の勤務する自治体でも
本年度から一人に一台タブレットが配布されます。
まだ流動的ではありますが
宿題などはタブレットで出たり提出したりできるようです。
オンライン授業もできます。
ゆくゆくは,多くの授業が生徒の登校がなくても
実施できるようになるでしょう。
したがって登校日数は減るでしょう。
このような環境下で育った子どもたちは
対人接触の機会が少なくても仕事ができるようになったり
作れるようになったりもするでしょう。
それが次世代の子どもたちを育てるので
オンライン化は加速するでしょう。
さらに話をエスカレートすると
現在のように日本人の人口減少があっても
オンラインで海外を相手に仕事ができれば
日本の経済は落ち込まずに済むかもしれません。
その② 家庭の教育負担が増える
現代では我々が子どもの頃に比べると
良くも悪くも教員の社会的権威は落ちています。
それ故に教師に任せておける部分もありました。
私は教師を擁護するつもりもないのですが
現在は教師の失敗に対する
社会の目は明らかにきびしくなっています。
教師のアプローチも大きく変化し
子どもや保護者に対して
寄り添う姿勢が求められるようになりました。
しかし,オンライン化が進み家にいる時間が増えると
現在のように担任が子どもたちの
リーダーとなるような教育形態の必要性は薄くなります。
学習内容は国力に影響しますので
大きく変更できる余地はないでしょう。
いかにオンラインのまま現状の学校教育が充足できるか
そういう方向で進んでいくでしょう。
これまではクラス担任制によってフォローしてきたのが
オンライン化によって家庭にしわ寄せが来ます。
ですから,家でのしつけの質が重要になります。
その③ 学校の相談機能の強化
そうなったら学校行く意味ないじゃん
そんな風に考える方もいるでしょうが
それはちょっと早まった考えです。
学校に行く機会が減っても変わらずに必要なこと
それは悩みに対する支援です。
教育は勉強だけすることではありません。
身体の発達を支え
生活力の向上も支援する場です。
これまでは,主に集団の力によってそんな力を
身に着けさせようとしてきたのです。
これからは集団の力は弱くなるでしょうが
その分,ちがう悩みが必ず生まれます。
そのため,
心身の発達支援の拠点になる
と予想します。
その分,教科担任の先生はより先鋭化し
養護教諭の仕事のウェイトは重くなり
スクールカウンセラーの出番も増えるでしょう。
その④ 不登校の概念が変わる
現在の文部科学省の基準では
年間30日以上の欠席で不登校です。
10日以上の欠席で要注意水準です。
予想のように登校日数が減れば
現在の水準からみると
総不登校状態
が当たり前になるでしょう。
同時に,学校へのコミットの程度は多様化されて
学校への出席日数は成長の基準から外されるでしょう。
主に,以下のようなもので評価されると予想します。
- 定期登校日の日数
- 顔出しが原則のオンライン授業への参加数
- 提出物
- テストの点数
日本の義務教育では留年はありませんが
成績不良者には
夏休みなどの学校休業日に特別授業をしたり
留年制度が加わるかもしれません。
以上が,新型コロナが及ぼす影響予測です。
どの程度,実現するか楽しみですが
たとえ実現しなかったとしても
今の時点でやっておく必要があることは
少しくらいあったのではないでしょうか。
家庭にお願いしたいこと
再び現状に戻りますが,現状からみて
家庭にお願いしたいことがあります。
それが以下の通りです
- スマホ・ゲームは親が管理
- 不登校でも生活リズムは作っておく
- 約束は親が守る
ここまでで,
スマホ・ゲームの管理の必要性と
ずさんな管理が生活リズムを乱すことにつながる
それはご理解いただけると思うので
ここでは改めて書かないことにします。
ですので
親が約束を守る
についてだけお伝えします。
子どもにとって親は環境 です。
どういうことか以下に説明します。
約束は一人ではかわしません。
お互いに守るから約束なのです。
そんなこと当たり前じゃん
そう思われるでしょうが
実際には,約束が果たされないのは
子ども側の問題にされてしまうことが多いのです。
人は環境によって左右されます。
いくらダメだと言っても
実態がそれを許してしまっているのでは意味がありません。
例えば
ネットの制限はしたんですが,子どもに破られました
そういうことはけっこうあります。
生活を立て直すために保護者が
スマホ・ゲームの主導権を取り返せたとします。
しかし,子どもに破られるような環境があること自体が
大人側が約束を守れていないということなのです。
そしてスマホ依存や生活の乱れを引き起こすのです。
保護者でさえもコントロールできないものであれば
家から取り除くべきです。
それをもって
親が約束を守る
ということになるのです。
それから守れない約束は初めからしないことです。
約束したのに破れる環境があること自体が
ネット依存を深刻化させます。
子どもをネット・ゲーム依存にするヤバいポイント5つ
まとめ
今回は
新型コロナが不登校に及ぼす影響
について書きました。
今回は,かなり私的な解釈や意見ばかりになりましたが
日々不登校や子育ての問題に相談する現場の
肌感覚が伝わればうれしいです。
新型コロナは誰にとっても
見通しをつけにくい自体を引き起こしています。
それでも,日本が破滅することはないでしょう。
ただ,価値観は大きく変わります。
変わっていく時代に変化できれば
ピンチをチャンスに変えていけるでしょう。
ご意見やご質問はここからどうぞ。
お返事には時間がかかる場合がありますが,遠慮なくどうぞ。
お問い合わせ
Comments