【使えます】マインドフルネスを活用した心の健康づくり

マインドフルな体

こんにちは ツナカンです。

 

ふだんは公的機関で教育と福祉にまたがって

心理職として働いています。

 

最近、カウンセリングにも

マインドフルネスは用いられています。

 

マインドフルネスは治療パッケージとして

取り込まれていることもありますが

大仰ではなくさりげなく取り入れられていることもあります。

相談にいらっしゃる方は、自分が

カウンセラーによってマインドフルネスな

アプローチを行っていることを知らされないかもしれません。

そこでマインドフルネスが取り入られている

支援の効果についてお伝えします。

また不登校のお子さんに

どんな風にマインドフルネスを伝えていけばいいか

そのヒントをご紹介したいと思います。

今回の内容は、保護者や学校の先生向けのものとなります。

私自身が実際にやっていることなども含まれますので

知っておいて、ご家庭や学校でも

心がけてみると良いかもしれません。

 

 

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【使えます】マインドフルネスを活用した心の健康づくり

不登校という状況は、子ども本人だけでなく、

家族や周りの大人にとっても大きなストレスとなります。

 

そんな時、マインドフルネスがどのように役立つのか

そしてどのように取り入れることができるのか

具体的に見ていきましょう。

 

1. そもそもマインドフルネスとは

マインドフルネスとは、瞬間に意識を集中させ

現在の体験を判断せずに受け入れる心の状態を指します。

この技法は、心理的な困難を抱える人々を支援するために

多くのプログラムや治療(MBP、MBT、MBIsなど)で取り入れられています。

MBP…「マインドフルネスに基づくプログラム」の略です。ストレスや不安の軽減、心の健康を保つことが目的です。
MBT…マインドフルネスの技法を用いて心の健康を改善するための方法です。MBIs…「マインドフルネスに基づく介入」の略でマインドフルネスの技法を使って、特定の問題に対処するための方法です。例えば、ストレス管理や痛みの緩和、うつ病の予防などに使われます。MBIsは、日常生活に取り入れやすく、誰でも実践できるのが特徴

 

 

2. マインドフルネスの効果

マインドフルネスに基づく治療やプログラムは

うつ病、不安症、質関連障害、肥満、慢性疼痛など

多岐にわたる精神的、身体的な問題に対して有効であることが示されています。

また、学校での心の健康やウェルビーイングの増進

行動問題を持つ子どもたちやその養育者への支援にも役立つとされています。

したがって、不登校の未然予防や

不登校後の精神の安定に役に立つと思いますし

私自身もマインドフルネスを支援に取り込むことで

子どもたちが安定してくるのを見てきました。

参考

精神疾患における治療:マインドフルネスとそうでない治療の比較

 

うつ:21件のRCT(高度な統計処理)をした結果

①通常の治療

②MBSR・CBT

の二つの認知行動療法を比較

結果

・身体的機能、痛みの強度、抑うつに対してMBSRとCBTは通常治療よりも有効だった。MBSRとCBTとの間では治療効果の違いはなく、痛みに対する効果はCBTと同じ程度で通常治療より優位性があった

 

うつの再発予防効果:9 件のRCT(高度な統計処理)

・MBCT(心理療法)は、通常治療と、それ以外と比較して60週間の再発リスクが低かった。
・治療の直後はMBCTを受けたグループは、通常の治療とそれ以外よりも症状は低減したが平均6カ月のフォローアップでは違いなかった。

 

統合失調症:10件のRCTのメタ分析(超高度な統計処理)

①標準治療

②標準治療+MBIs

結果

②では精神症状,陽性症状,機能障害および病識が改善が見られたが、研究上の課題があったため明確な差があるとは言い切れなかった

 

双極性障害:メタ分析

・抑うつ症状や不安症状の軽減はあったが躁症状については減少しなかった

・フォローアップデータの報告がなく再発予防効果をうたうには不十分

 

社交不安障害:11 件のRCT

・MBIs(マインドフルネスをベースとした介入)を行ったグループと治療なしグループの比較

・MBIs効果はあった。

・通常の認知行動療法(心理療法)などのとの差はないか、効果は劣った。

 

全般性不安障害:6 件のRCT(高度な統計処理)

MBCT(心理療法をうけたグループ)はうけないグループよりも治療効果が高い

アルコールや物質の使用障害の再発予防:13件のRCT(高度な統計処理)

・Mindfulness based relapse prevention というアプローチを実施

・欲求や使用頻度の減少を支持する結果が得られた

 

3. 不登校の子どもたちとマインドフルネス

 

さて、ここからが不登校の子どもたちと

マインドフルネスのお話となります。

 

不登校の子どもたちは、学校への不安、対人関係の悩み、

自己評価の低さなど、さまざまな心理的課題を抱えています。

 

マインドフルネスは、これらの感情や思考を客観的に観察し

受け入れることを助けることで、心の健康を支えることができます。

具体的には、自己受容の促進やストレスへの対処能力の向上

感情調節のスキルを高めるなどの効果が期待できます。

 

不登校になると、大きすぎる心配を持つようになり

周囲の大人がいくら励ましても

たった一歩を進めることがむずかしくなります。

大人は子どもの心配に対して

「大丈夫だからちょっとでも行ってみよう。」

「心配しすぎだよ。」

というように、言葉をもって

何とか励まそうとしますが

実はこれが逆効果になることも

少なくありません。

そこでマインドフルネスは

自分の持っている不安を

少し離れたところから観察するように促し

不安には微妙に変化し続けることや

自分自身を大切にすることの本当の意味を

知ることに繋がっていきます。

 

要するに、考え込むこと以外の方法を

子どもたちが知ることができるのです。

マインドフルネスを行えば

必ずしも学校に行くことに繋がりませんが

そうだったとしても

自分自身の中からわきおこってくる

気もちとの付き合い方を学ぶ機会になります。

 

そしてそれは、大人になってからも

ずっと付き合うことのできるスキルを

身につけていくことにもなるのです。

4. マインドフルネスの取り入れ方

 

マインドフルネスを日常に取り入れるには、以下のような方法があります。

短い瞑想を日課にする:朝や就寝前の数分間、呼吸に意識を向ける瞑想を行う。
感謝の習慣を育む:一日の終わりに、その日感謝したいことを3つ挙げる。
意識的な食事:食事の際には、食べ物の色、香り、味を意識して味わう。
感情の観察:感情が湧き上がった時、その感情をラベリングし、客観的に観察する。

これらの習慣は、子どもだけでなく、保護者や教員自身の心の健康にも役立ちます。

家庭や学校でマインドフルネスの練習を共有し

日々のストレスや困難に対する新たな対処法として

取り入れてみてはいかがでしょうか。

なにより近くにいる人たちが

こうしたことをしていることが

子どものモデルになることもあるのです。

 

 

5. まとめ

不登校の子どもを持つ保護者や学校の教員の皆さんが直面する困難は、

決して一人で解決しなければならないものではありません。

 

心の健康を守り、育むための方法の一つとして

マインドフルネスを活用することで、子どもたちだけでなく

大人自身もより健やかな心を育むことができます。

 

不登校という状況を通じて

私たち自身の心と向き合い

子どもたちと共に成長していくための

きっかけにしてみてはいかがでしょう。

 

参考

田中・甲田(2021)公認心理師の各職域におけるマインドフルネスに基づく心理的支援の発展と今後の課題.Japanese Psychological Review2021, Vol. 64, No. 3, 244–259

 

 

 

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