こんにちは ツナカンです。
ふだんは心理職として
公的機関で働いています。
ペアレントトレーニングをご存じでしょうか。
1960年代からアメリカでペアレントトレーニングは開発されはじめ
今では日本でも様々なペアレントトレーニングが開発されています。
ペアレントトレーニングといっても
目的や方法は微妙に違っています。
今回はペアレントトレーニングの中でも
こども個人へのアプローチとこども集団を対象にした
二つのアプローチをご紹介します。
心理療法というと、心の中を洞察するようなイメージがあるかもしれませんが
今回のお話を聞いてもらうと
親子関係の改善に効果的なアプローチについて知ってもらえると思います。
1.子ども個人に言うことを聞いてもらうアプローチ
ここではマンツーマンで
こどもに言うことを聞いてもらうための
一つの例をお知らせします。
- Barkleyによる指示従事行動(言われたことに従う)に効果的なアプローチ
- 親が本人の適切な行動に注目するように支援する。
- 子どものコンプライアンスと自立した適切な行動にトークン(※)・システムを活用
※ 大人が良いと思うものではなく、あくまでも子どもが喜ぶもの
もう少しわかりやすく言うと
適切な行動と不適切な行動をあらかじめ本人と話し合っておいて
指示に従わない行動(ノン・コンプライアンス)に対しては
タイムアウトを適用します。
また毎日、記録表(学校行動報告カードなど)を活用して
家と学校での行動を改善する。
2.集団で指示に従うトレーニング
次に、集団で指示にトレーニングを行い
大人の指示に従えるようになったかを
証明するアプローチをご紹介します。
実験①
- Antshel and Remer(2003)
- テーマ:社会的スキル訓練はどのような集団で実施すると効果が上がるか、ADHDに関してどのような効果が見られるか
- 方法:無作為対照化研究(高度な統計処理)
- 内容:社会的スキル訓練(8週間)を8~12歳のADHDの子どもたちを ①不注意優勢型 ②混合型 に分けて検討した。
結果:
ADHDでも同じ型の子どもたちで構成されたグループでは行動問題が減少
異なった型の子どもたちで構成されたグループでは
協力、主張スキル、共感スキルに効果がありました。
また、不注意優勢型の子どもの主張行動には
有意な効果が見られたそうです。
実験②
- Hartman Stage and Stratton(2003)
- 対象:4~7歳のADHDの子
- 内容:①注意に問題がある子 ②行為に問題がある子 ③その双方に問題がある子 のグループに分けるとともに、全体の重篤度を評価し、22−24 週間のペアレント・トレーニングを実施した。
結果:
障害の傾向、重篤度に関係なく
全ての母親のネガティブな養育行動が減少し
注意の問題と行為の問題が減少したそうです。
これは 早期からのペアレント・トレーニングの必要を指摘 しているといえます。
実験③
- Chronisら(2004)
- 内容:8週間のサマー・キャンプ・プログラム
- 対象:6−10歳のADHDのある子ども
- 方法:介入と非介入との比較実験
結果:
介入群では行動問題を低減させ
学業達成を向上
先生、カウンセラー、本人自身の
ポジティブな評価を高めたそうです。
3.家庭と学校が連携するために必要なこと
ペアレントトレーニングは
保護者と子どもだけが頑張れば
良いというものではありません。
せっかく身につけたスキルも
さまざまなところで使えるようにならねば
意味がありません。
そこで身につ行けたスキルが
学校でもできるようになるためにも
家庭と学校の連携が必要になります。
例えば以下のようなものです。
この記事が親子や学校のお役に立つことを
お祈りしています。
【参考】山本・澁谷(2009)エビデンスにもとついた発達障害支援応用行動分析学の貢献,行動分析学研究 第23巻 第1号
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