こんにちは ツナカンです。
わたしは適応指導教室で
カウンセラーとして3年以上勤めてきました。
不登校のお子さんや,子育てに悩む親ごさん,先生方
あせて1000件ちかくの相談に応じてきました。
こうした中で,
適応指導教室にかようことのメリットとデメリットが
はっきりとしてきました。
親ごさんや,先生方のなかには
一回,適応指導教室に行ったら
いごこちがよくなっちゃって
よけい学校に行けなくなっちゃうんじゃない?
そんな風にいわれることがあります。
今回,そんな心配にお答えしていきます。
この記事を読んでもらえれば
こんなことがわかります。
- 適応指導教室に通うことの5つのメリットと4つのデメリット
- かえって学校に行きにくくはならない理由
- 適応指導教室を利用するときに注意したい点3つ
これらを解説していきます。
適応指導教室に通うことの5つのメリットと4つのデメリット
適応指導教室にかようことのメリットは以下のとおりです。
- 要録上の出席になる
- 学習の支援をしてもらえる
- 子育ての相談もできる
- 基本的に無料
- 生活リズムがととのう
その①:要録上の出席になる
適応指導教室に来ていれば,
学校に行かなくても
要録上の出席になります。
この“要録上の出席”については
ほかの記事でくわしく説明しています。
保健室登校も,相談室登校もできないときは
適応指導教室やフリースクールにかようとよいでしょう。
その②:学習の支援をしてもらえる
ほとんどの適応指導教室で
勉強をおしえてもらえます。
スタッフは元教員であることも多く
勉強を教えることにはたけているし
わたしのような心理職よりも
専門性の高い学習支援ができます。
お子さんによって学力はちがいますが
それにも気を配ってくれます。
それでも
人に会うのがイヤだ
適応指導教室にかようのがイヤだ
というのであれば,
ネット学習を利用するというのも手です。
最近では、新型コロナの件もあり
学校でネット授業をしてくれるようにもなりました。
その③:子育ての相談もできる
不登校は学習の支援だけをすれば解決するわけではありません。
かといってカウンセリングだけで解決するのも難しい。
適応指導教室では相談もできるので
学習支援とカウンセリングがパッケージになっています。
実は,親子の状況がわかるのは
支援する側にとってもありがたいことです。
子ども・保護者・支援者がスクラムを組めるからです。
その④:基本的に無料
ここまでの内容が無料でうけられます。
同じサービスを民間だけで提供しようとしたら
毎月5~10万円はまちがいなくとられるでしょう。
実際に,月に3万円をベースに
通室日ごとに3000円ていどの利用料がかかる
フリースクールさえあります。
ただし
・職員の人数
・開所日
・専門職員の配置状況
などは
自治体によって差があります。
それでもベースとなる待遇は大きくちがわないはずです。
その⑤:生活リズムが整う
生活リズムが乱れたお子さんにとっては
適応指導教室に通うことで
生活リズムが整うきっかけになります。
もちろん,少しずつならしていく必要がありますが
かよう日数や、時間がふえるほど
生活リズムは整うようになるでしょう。
一方,適応指導教室に通うことのデメリットは以下の通りです。
- 出席簿は欠席になる
- 適応指導教室だけでは学力の差は埋まらない
- 生活リズムがゆるくなる
- 保護者の負担が増える
その①:出席簿は欠席になる
出席は要録と出席簿の2つでカウントされています。
出席簿はあくまでも
学校に登校すること
が要件になっています。
学校に指定の時間にいられなければ
出席簿では遅刻・早退・欠席としてカウントされます。
こうなると
もっともリスクが大きいのは
高校入試です。
公立高校では出席簿上の記録は
おおむね配慮することになっていますが
進学校に行くなら明らかにデメリットになるし
私立高校では不合格にする学校もあります
ですから,せめて放課後登校するとか
適応指導教室に行かない日は
保健室や別室での登校をする方が良いです。
別室登校についての関連記事はこちら
その②:適応指導教室だけでは学力の差は埋まらない
学校に行かなくなり学力が遅れると
とりもどすのはそれなりに苦労します。
適応指導教室では良くも悪くもムリはさせません。
しかし気持ちやムードに流されて
勉強しなくなってしまえば
ますます遅れていきます。
そうしている間にも
学校に登校しているお子さんの学習過程は
どんどん進んでいます。
ですから,適応指導教室の学習は
“家で何もしないでいるよりはるかに良い”
という程度にとらえましょう。
こうしたことからも
適応指導教室ではないところでも
学習の機会を作ることがたいせつです。
実際,通室するお子さんでも
ネット学習や塾を併用しているお子さんもいます。
その③:生活リズムがゆるくなる
多くの適応指導教室が
学校より遅く始まり,早く帰れます。
それは登校している他のお子さんに
会わないようにするための
配慮だと言われています。
不登校が長く続き
生活が乱れたお子さんにとっては
通室することが生活リズムを整えることにつながります。
しかし,登校できていたお子さんにとっては
生活リズムを乱すことにもなります。
ですので,通室するようになっても
学校に行くリズムで生活する必要があります。
その④:保護者の負担が増える
適応指導教室にお子さんをかよわせるようにしても
学校は無視することはできません。
保護者にとっては
適応指導教室と学校の2つに
連絡・連携をとる必要が出てきます。
わたしが勤める適応指導教室でも
年に数回は面接をお願いしているし
保護者が送迎することはめずらしくありません。
こればかりはどうすることもできません。
また,ほとんどの適応指導教室では給食がありません。
そのためそれぞれの家で用意することになります。
適応指導教室にかようことを決めて
学校の給食を止めるご家庭もあります。
こうすることで給食費を浮かすことはできます。
かえって学校に行きにくくはならない理由
適応指導教室にかよわせる前に
よく保護者が心配するのは
居心地が良くなって
よけい学校に行きたくなくなりそう
でも、はっきり言って問題ありません
その理由は
- 学校を意識せざるをえない環境
- 利用する子のほとんどが葛藤している
- 利用にも期限がある
その①:学校を意識せざるをえない環境
私がこれまでかかわってきたお子さんのほとんどが
何らかのかたちで学校や先生と接点を持っていますし
学校に完全復帰する子だっています。
実際,先生と保護者のやりとりは
変わらずありますし
先生は家庭訪問もします。
わたしの勤める適応指導教室に
先生が定期的に訪問して下さることもあります。
またいっしょに通室していた仲間が学校にもどったり
先生とやりとりをしているのを目の当たりにして
「自分も学校のことを考えよう」
そう思う子も少なくありません。
その②利用する子のほとんどが葛藤している
そもそも適応指導教室を利用するくらいですから
お子さん自身が
「学校に行きたくないけど行かなきゃいけない」
そんな両方の気もちのあいだで迷っているのです。
わたしたち支援者は,この気もちをささえつつ
お子さんが
「本当は~したい!」
と思う方へ行動できるように手つだうのです。
その③利用にも期限がある
適応指導教室がつかえるのは
義務教育のあいだであることがほとんどです。
どんなに長く通室していても
学校と同じように義務教育が終われば
通室はできなくなります。
リミットがあれば,子どもといえども
自分の将来を気にします。
卒業を意識しはじめる中学2年生くらいから
ほとんどのお子さんが将来を考えはじめます。
わたしがかかわってきたお子さんの多くが
中学校3年生になってから
学校に行く回数がふえたり
いられる時間がふえたりしています。
ここまで読んだ方の中には
本当にそんな風にうまくいくの?
うちの子は例外になりそう・・・
そんな風に思うかも知れませんが
結論は変わりません。
適応指導教室に行かせて大丈夫 です。
それでも心配だという方のために
通っている生徒にも聞いてみました
(記事にすることは本人の許可を得ています)
メリットとしては
職員が自分のことを考えてくれて優しい。
同じ経験をしている人がいるから仲よくしやすい。
勉強が進みやすくなった。
勉強のきっかけができた。
不登校になったから受験で大変だと思うけど
それが楽になった。
悪いこと・・・?
思いつきません。
ここに来てイヤだと思ったことはとくにないです。
デメリットとしては
ちがう学校の子と遊ぶタイミングがずれることがある。
これ以外にも,子どもたちから聞いた
適応指導教室のメリット・デメリットを
こちらの記事にあげてあります。
ただし,たしかに例外があります。
それは次のようなお子さんです。
適応指導教室を利用するときに注意したい点3つ
「適応指導教室に通わせる上で注意したいこと」
は
「適応指導教室に通わせるなら改善が必要なこと」
と同じ意味です。
それは以下の3つです
- 子どもを責める
- 生活が乱れている
- スマホ・ネット依存である
その①:子どもを責める
学校に行けないことでお子さん自身も傷ついています。
それについて親ごさんがあせるのは自然なことです。
しかし,不登校をめぐって親子関係がこじれていたり
お子さんの傷つきが深くなっていると
お子さんの傷つきのケアと,それ以外の支援を
同時におこなう必要が出てきます。
一時お子さんを責めてしまうことはあるかもしれませんが
適応指導教室の利用を
やんわりと提案することから始めてほしいと思います。
その②:生活が乱れている
生活リズムが乱れていると
やる気も自然となくなっていきます。
そもそも生活が乱れていれば
起きることすらままなりませんから
通室そのものができなくなります。
また乱れた生活が長びくことで
不登校から引きこもりになるリスクが大きくなります。
たとえ学校にも適応指導教室にも行かなかったとしても
起きて、日中に家の中でやるべきことを与えておくなどして
生活の乱れは最小限にしておくべきです。
その③:ネット・ゲーム依存である
ネット・ゲームはやらなくても生きていけるものです。
依存症になるということは
好きなのではなく,欲しいものになってしまっている状態 なのです。
これが
生活の乱れを起こし
やる気をうばい
将来の夢を見うしなわせます。
また,保護者が
子どもの依存度をコントロールすることは
むずかしくなります。
ですから
親に見せられないネットの利用のしかたはさせない
ようにする、ということです。
残念ながらネット依存度の高いままだと
もとの生活にもどるまでにかなりの時間がかかります。
だからといって、あせってとり上げたり
ネガティブなことばかり伝えても
子どもとのやりとりはうまくいきません。
実は、ネット依存については
わたしもまだきちんとした解決を
提案するのがむずかしいテーマです。
ネット・ゲーム依存になってしまっていたら
慎重に進めていきましょう。
適応指導教室をもっと知りたい人におススメ
適応指導教室のメリット・デメリットについて解説しました。
学校に行けない子が家に引きこもっているよりは
はるかに良い環境だと思います。
メリットとデメリットをよく考えて
お子さんにとってもっとも良い道を
選んでもらいたいと思います。
また,お子さんとこの記事を共有して
いっしょに考えてもらうと良いと思います。
最後に
適応指導教室についてもっと知りたい!
そんな方にはこちらをご提案します。
こちらの本おススメします↓
この本は、このblogのなかから
とくに不登校に役立ちそうな情報をまとめて
一冊の本にしました。
本の中身が気になったら、こちらの記事↓でも概要を知ることができます。
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