通信制高校のしくみと選ぶ時のポイント

不登校支援

こんにちは ツナカンです。

教育支援センター(適応指導教室)のカウンセラーとして

お子さんや,保護者,先生方を応援しています。

 

今回は

通信制高校を進学先に考えてる。
通信制高校にもいろいろあるけど
どうやって決めたらいいの?

 

そんな方に向けて

通信制高校の仕組みと進路を選ぶ時のポイント

を解説します。

 

この記事を読むことで

通信制高校を選ぶ時の決め手がしぼれて

進学先を選びやすくなるでしょう。

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通信制高校のしくみと選ぶ時のポイント

もともと通信制高校は 勤労青少年 のために作られました。

勤労少年?

勤労青少年とは 働いている若者 のことで

働きながら学ぶための学校が通信制高校というわけです。

 

そんな通信制高校は本当にいろいろな特徴があります。

今回は細かく解説していきます。

 

 

 

通信制高校を利用している子どもたちの割合

通信制ってよく聞くけど,どれくらいの人がいるの?

その質問に答える前に今の高校生の進路先として

全日制,定時制,通信制があります。

 

そして質問の答えは

  • 全日制91.3%
  • 定時制2.4%
  • 通信制6.3%

です。

 

 

 

やっぱり普通の高校の方が多いんだ

と感じたかもしれません。

 

確かに,まだまだ通信制はマイナーな存在です。

 

しかし今の日本では少子化が進んでいますが

通信制高校の在籍者は約20万人まで増加しています。

 

子どもの人口の割合で約16人に1人程度になります。

 

一方,全日制の生徒数は約116万人減少し

逆に通信制の生徒数は4万5000人以上増えています。

 

〇フレックスハイスクール

通信制の他にも,昼間部・夜間部を併設した定時制単位制の高校で

ライフスタイルに合わせて登校時間を選べるフレックスハイスクールもあります。

 

 

 

通信制高校を利用する理由

どんな人が通信制を使ってるの?

通信制高校を利用する理由としては

以下のような理由です。

 

  • 発達障害で普通高校に通うのがむずかしい
  • 不登校で普通高校に通うのがむずかしい
  • 学業不振
  • スポーツ・芸能で身を立てたいという志を持っている

 

それぞれの特性やライフスタイルに合わせて

学べるのがメリットでしょう。

 

 

 

学びのスタイル

通信制の主な特徴として

以下のようなものがあります。

  • 自主学習が基本
  • スクーリングは必要
  • 単位制
  • 7割は私立
  • 広域制と狭域制がある

 

この中で,特に説明が必要と思われることを解説しておきます

 

〇単位制について

結論から言うと

留年したくなければ一年の分の単位はきちんととった方がいい

ということになります。

 

普通の高校だと1年生ならば1年生の時に

必要な科目を履修しなければ

次の年にはリセットされてしまいます。

全てやり直しで,もう一年やらねばなりません。

 

一方,通信制は大学と同じように

自分の興味関心に合わせて教科を自分で選ぶことができます。

 

1年生の時にすべての科目を履修できなくても

2年生の時に,前年度に不足した科目をやりなおすことができます。

そして,3年間で3年生分までの単位を取得できなければ4年目に突入します。

 

 

〇広域制と狭域制

通信制高校には生徒の受け入れ方によって

二つのタイプがあります。

それが 広域制 と 狭域制 です。

 

令和2年度の通信制高校の生徒の割合は

広域制が68%,狭域制が32%

となっています。

 

 

〇広域制とは

本校の所在地の他に2都道府県以上(あわせて3都道府県以上)

の地域に在住する人が入学可能な高校です。

広域制の学生数は

1位 N高等学校
2位 クラーク記念国際高等学校
3位 学校法人KTC学園

などと続いています。

 

受け入れが広域であるために,地域によっては近くに校舎がない場合があります。

その場合は協力校などの外部教育機関と連携して

スクーリングが行えるようにしています。

 

✔注意点

実績をアピールするために,各校とも有名大学に行けた実績をあげていますが

広域であるために支援にムラがあることがあります。

そのため自分が住む地元の支援の実態を把握する必要があります。

 

 

〇狭域制とは

本校所在地のみか,隣接する1都道府県 から入学が可能な高校です。

地元に根付いて丁寧に教育するのが特徴で

公立の通信制高校はほとんどが狭域制です。

 

そのため広域制と比べて支援のムラが少ないのが

特徴と言えるでしょう。

 

狭域制高校の説明会のレポートもあります。

 

 

通信制高校の三つの形態

別記事でも紹介していますが

ここで改めて,通信制高校の3形態について簡単に特徴をご紹介します。

 

〇サポート校

サポート校と呼ばれる学習支援施設などです。

提携する通信制高校とともに学習やメンタルの支援を行います。

学費を提携校と支援施設の両方に支払う必要があります。

 

〇高等専修学校

専門技術+通信制高校の組み合わせになります。

高卒資格が認められるために必要な74単位のうちの半分が

専門分野の学習が必要単位として分認められています。

通信制高校と連携していないケースもあり,

この場合,専門学校への進学が前提となっている。

 

〇高等学校

通信制と全日制が一緒に設置されている学校で

先にあげた通信制高校のように提携校への支払いが不要なります。

また全日制への転籍ができる制度もあります。

 

公立通信制高校の卒業率は私立高校の3分の1 と言われています。

こうしたことから

公立通信制高校での卒業をあきらめて

私立の通信制高校に移動することもあります。

 

 

学生の受け入れ3つのパターン

学生の受け入れは,いつでも行っていますが

主に3つのパターンがあります。

  • 新入学
  • 転入学
  • 編入学

 

 

〇新入学

中学校の卒業見込みのお子さん

中学校をすでに卒業したお子さん が対象です。

4月と10月に募集が多い(随時募集する学校もあり)

 

〇転入学

高等学校に在籍しているお子さん が対象です。

随時受け入れしています。

 

高校の休みが多くても,前の学校で手続きができれば通信制への入学可能です。

前にいた高校を休学してしまったり,退学をしてしまったりすると

就学に遅れが生じてしまうため卒業時期が遅れます。

ですから休学する手続きをする前に通信制に先に相談した方が良いでしょう。

 

〇編入学

高校を中退してしまったお子さん が対象です。

入学は4月10月が多いようですが

学習の遅れを減らすため

いつでも受け入れている場合もあります。

 

しかし,中退してしまった時期や,前校によっては

その年の単位が取れるかどうか分かれることがありますので

前の学校に問い合わせた方が良いでしょう。

 

 

 

通信制高校の入学までの流れ

 

通信制高校の入学の流れは以下の通りです。

  • 資料請求
  • 見学(個別見学・相談,オープンキャンパス)
  • 出願(高校によっては必要書類が異なる)
  • 入学試験

このような順になります。

 

なお入学試験については

  • 書類選考
  • 作文学力試験と面接等
  • 面接のみ

など

コミュニケーションや学力で判断することもあり

各校や時期によって違いがあります。

 

面接のみの試験であれば

「卒業したい」という意思確認のみのところもあります。

面接では圧迫感を感じないように

生徒さんが話しやすいように

先生も雰囲気を作ってくれることもあります。

 

 

 

卒業するために必要なこと

卒業するために必要なことを 卒業要件 と呼びます。

それは以下の通りです。

  • 通算3年以上の在籍期間(前の学校と合わせて3年以上学校に在籍すること)
  • 74単位以上の習得(前にいた高校ですでに習得しているものはOK)
  • 30単位以上の特別活動(ホームルーム,学校行事)に参加すること

 

単位をとるのに必要な「R・S・T」

通信制高校で高卒認定の単位をとる方法は

レポート,スクーリング,テスト

の三つ,通称 RST です。

 

 

「R」レポート

履修登録した科目によって期限に間に合うように提出します。

ただし,大学のようなものではなく

高校が卒業できるために最低限知っておいてほしい知識のレベルです。

 

学校や教科によって出題形式を工夫して

小テスト,要約,穴埋め問題など

生徒さんに回答しやすいようにしてあります。

 

 

「S」スクーリング(面接指導)

スクーリングは 必ず受けなければなりません。

ふだん学習している施設での授業や

定期的に決められた場で授業を受けます。

数日間の宿泊で満たすこともあります。

 

また広域制通信制高校の ネット型学習コース では

ネットなどを活用して6~8割を免除する制度もあります。

スクーリングは3つのスタイルがあります。

  • 自由登校型
  • 日数選択型
  • 毎日登校型

 

 

〇自由登校型

自由に登校し個別に学習を行います。

自由に登校できるメリットはあり

プレッシャーは少ないですが

逆に決め手がなく,いつ行っていいかわからなくなり

スクーリングのタイミングを見失います。

 

どんな人に向いている?

プロスポーツ選手を目指しているとか

ふだん学校以外で忙しいけど

高卒資格を得たいという人向けでしょう。

 

 

〇日数選択型

月に数回~週に数日登校します。

登校日をライフスタイルに合わせて選択することができます。

どんな人に向いている?

 

多少時間がかかっても

自分のペースで

高卒資格を得たい人向けでしょう。

 

また,

少しずつ生活のリズムを作っていきたい人にも

良いでしょう。

 

 

〇毎日登校型

全日制のように登校し学習するスタイルです。

どんな人に向いている?

高校を卒業したら会社に勤めるなど

いわゆる“普通”の生活リズムを作りたい人向けでしょう。

 

 

「T」テスト

学校によって異なるようですが

年に1~2回程度あります。

テスト範囲はレポートで出された範囲から出題されます。

 

 

 

公立の通信制高校と私立の通信制高校の差

令和2年度文部科学省学校基本調査によると

通信制高校に進学した生徒の中で

入学してすぐに学習をスタートできた人 の内訳は

公立は 64.2%
私立は 97.6%

と,大きく差が開いています。

 

 

そして無事に単位が習得できたのは

公立で 45.7%
私立で 89.2%

と,こちらも差が開いています。

 

 

卒業後も進路が決められた生徒の割合は

公立で 45.9%
私立で 61.9%

です。

 

こうした差はどこから生まれるのでしょうか。

可能性として言えるのは

私立の通信制高校が手厚い支援をしているということです。

 

少子化で子どもの人口は減っています。

その一方で不登校の生徒の数は年々増えています。

 

不登校の増加に歯止めがかからない中

通信制高校はこうした生徒の受け皿になっています。

 

私立の学校から見れば

ある種,生徒のとり合いになっています。

 

こうした学校同士の競争原理が働いていることから

どこの学校も生徒への手厚いかかわりをアピールしているのです。

 

 

 

通信制の高卒資格について

卒業証書には

「定時制」とか「通信制」という記載はありません。

 

全日制高校とまったく変わらない卒業証書を得ることができます。

このようなことから大学進学等の不利益は全くありません。

 

✔注意点

ただし,サポート校の場合は

提携している通信制高校の卒業証書になったり

通信制高校と提携していない高等専修学校では

高卒資格が得られない場合があります

入学前にしっかりと確認するようにしましょう。

 

 

 

通信制高校の学費

学費は登校日数や学習コースによって大きく異なります。

公立高校では年間3~4万程度ですが

私立年間100万以上ということもあります。

一単位あたり7000円~10000円程度です。

 

私立高校についても国の 高等学校等就学支援制度 が利用できるため

授業料の免除制度があります。

 

保護者の年収が

  • 590万未満…自己負担は 0円
  • 590~910万…自己負担は 5188円
  • 910万以上…支援対象外となり自己負担は 250000円(年間)

となります。

 

 

✔注意点

広域制の通信制コースで最安値をうたっていても

別途オプション費用が必要となることがあります。

この他,スクーリングの交通費や宿泊費などが発生すれば

思っていた以上の学費になりかねません。

 

このようなお金のことを

生徒が自力で調べるのは困難です。

希望する学校が見つかったなら

直接学校に相談してみることが必要です。

 

 

 

まとめ

通信制高校の仕組みと

通信制高校選びのポイントについて解説しました。

私立の通信制高校は良くも悪くも特色の差があります。

住んでいる地域,家庭,子どもの状態にあった学校を選ぶことが重要です。

この記事が,通信制高校を選ぶ一助になれば幸いです。

参考:明秀学園日立高等学校通信制高校進路相談会2021資料

 

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