こんにちは ツナカンです。
私はふだん
適応指導教室のカウンセラー(公認心理師)として
不登校のお子さんや
子育てに悩む保護者の方
学校の先生方
の相談にのっています。
これまで
子どものインターネット・ゲーム依存
についての相談にも対応してきました。
しかし
そんな中で
もう子どもがネット・ゲーム依存になってしまって
どうしていいのかわからない
こんな風に回復が困難なケースが
けっこうあります。
このような状態になると
慌てて子どもからネットやゲームを取り上げようとして
子どもと衝突することが多いのです。
そんな悩める方に向けて
今回は
ネット・ゲーム依存になった子から
・ネットを取り上げるおきること
・その対処法
を解説します。
この記事を読んでもらえれば
こんなことがわかります。
- ネット・ゲーム依存の子どもからネットを取り上げると起きる6つのこと
- ネット・ゲーム依存になった子への6つの対処法
お子さんがネット・ゲーム依存になってしまうと
そこから脱出させるのは親としてもかなり大変です。
進路など,大事な時期にまでネット・ゲーム依存が続き
いよいよ追い詰められたときになって
無理矢理取り上げると大変なことになります。
そんな時にどんなことが起きるのかがわかれば
前もって準備しておくことができます。
ただし,この方法がカンペキとは言えませんので
これをたたき台にして色々と試してみることも良いでしょう。
ネット・ゲーム依存の子どもからネットを取り上げると起きる6つのこと
これまでの相談経験の中から
主に以下のようなことが起きています。
- 親の目を盗んでネット・ゲームする
- 親以外の名義を使う
- 公共機関の回線を使う
- 脅す
- かんしゃくを起こす
- 暴力&ひきこもり
このような反応を心理学では
消去抵抗
と呼びます。
またネット依存や過度の運動などのような
物質に依存しない行為が過剰になり,やめられなくなることを
行動嗜癖
と呼びます。
これらは意思の力では解決できません。
以下に,筆者の経験・主観から感じる危険度
と, できごとを紹介します。
危険度1:親の目を盗んでネット・ゲームする
ネット・ゲーム依存の初期によく見られます。
この時点では,まだ親の力の方が強いことが多く
そのため,親との衝突を避けられる場所で
ネット・ゲームをします。
このような兆候が見られたら
早めに対処を考えるようにして下さい。
危険度2:公共機関の回線を使う
家庭で注意・制限されていたり
スマホやゲーム機などの端末が
手放せなくなっているときに見られます。
自分以外の人からの制限や
ネットができない状況になっていても
ネット・ゲームをすることに固執してしまっている証拠です。
家の中で制限が通用しているだけ良いですが
こうまでしてもネット・ゲームにこだわるというのは
すでに脳への影響が出ているのでしょう。
危険度2.5:かんしゃくを起こす
これは,親と子どもの主導権が同じくらいのレベルにある時です。
子どもからすれば,
“キレれば親が言うことを聞くかも知れない“
“キレれば勝てるかも知れない“
と感じている可能性は高い。
あるいは,そう感じていることさえなく
とにかくキレている状態になります。
ここで,親が引いてしまえば
それ以降も,主導権は子どものものです。
親が制限を加えようとすれば
子どもはキレる(かんしゃく)ようになりますし
そのたびに親は困ることになります。
これを
“消去誘発性攻撃”
と呼びます。
さらにたちの悪いことに
親が折れれば折れるほど,かんしゃくは酷くなります。
つまり,ふさわしくない行動をやめさせようとするときに
つきものの感情爆発なのです。
危険度3:親以外の名義を使う
ネットについては原則,成人が契約者です。
ふつうに考えて,子どもが自由にできることはないはずです。
それにも関わらず,ネットの利用が自由になるということは
“口ではダメと言っても現実は許している”
という状況です。
この矛盾したメッセージは大変危険です。
例えば,自分のアカウントを勝手に作ってしまったり
祖父母のアカウントでネットで売買してしまったり
そういうことが起きます。
これらは,知ることができても対処することが難しくなります。
危険度4:脅す
このレベルになると,親は力負けしています。
例えば
「ネットを制限するなら学校に行かない!」
「~を買ってくれたらネットをやめる」
など,実際に約束を守るかどうかは子ども次第です。
これは交渉ではなく
“脅し“
なのです。
こういう行動が出たら家庭で解決するのは無理だと思いますし
私たちのような専門機関が関わっても解決は困難です。
ここまでは別の記事でも紹介した
“部分強化消去効果”の結果であり
中途半端な対応が招いています。
危険度5:暴力&ひきこもり
部分強化消去効果によって
生きている中でもっとも苦しいのがこの状態です。
物を壊したり,殴ったりします。
それ以外は部屋に引きこもるなどして
人との接触をしなくなります。
この段階に入ったら,長びくことを覚悟しなければなりません。
子どもも“ネット・ゲームが楽しい”からしているのではなく
“せずにはいられないからしている“
ということを確信しているでしょう。
ネットの世界に逃げるが
それが良くないこともわかっているので抑うつ感を感じる。
その抑うつ感をごまかすために
さらにネット・ゲームに浸る
こういう悪循環に完全にはまり込んだ状態です。
ネット・ゲーム依存になった子への6つの対処
ここまで読んでいただいて
子どもがネット依存になることの怖さ
をご理解いただけたのではないかと思います。
おそらく,これを読んでいただいている方の中にも
お子さんのネット依存が進行中だったり
もしかすると,ご自身も
ネット依存が進行してしまっているのではないでしょうか。
以前にも,ネット依存への対処法を記事にしています。
【解決】ネット・ゲーム依存,私ならこうする
これまでの対象法とかぶるところもあるかもしれませんが
それだけ,徹底できないことが多いからです。
また前回の記事も,ご覧いただければと思います。
ポイントは以下の通りです。
優先順位の高いものから
- ネットが自由になる環境を作らない
- 生活リズムを整える
- 前約束をする
- 一貫性を持つ
- かんしゃくは徹底的に無視
- 暴力には屈しない
優先度5:ネットが自由になる環境を作らない
別の記事
子どもをネット・ゲーム依存にするヤバいポイント5つ
でも紹介した通り
インターネットのゲームやSNSなど
アプリは依存性が高まるように巧みに作られています。
ですから
“子どもにコントロールできるわけがない”
のです。
ですから,環境を調整することが大切なのです。
環境とは
- 場所
- 時間
- 人
です。
すぐにネット端末に手が届くような環境は問題外ですし
いつでもできる状態も危険です。
また,いくら同居人が環境を変えていても
近くにいる祖父母や親類が
ネットに甘ければその家を頼るようになるでしょう。
もちろん,他人名義でネット通販ができる状態になっているのは
完全にアウトです。
ですから,ほんとに子どものネット依存を変えたいなら
ネットづけになる環境を変えなければなりません。
また中途半端な対応はいけません。
優先度5:生活リズムを整える
ネット依存になると多くの場合
生活リズムが狂っています。
子どもなのに睡眠時間が6~7時間くらいだったり
睡眠リズムが不安定で深夜に寝て遅く起きたり
その反動で日中に寝てしまっていたり
座って食事もせずにネットにかじりついていたり
そんな状態になっていたりします。
まず
小学生であれば9~10時間
中学生でも8~9時間
くらいの睡眠時間は確保したいところです。
しかも,22:00~2:00の間は確実に寝ていたいものです。
そして起床は6:00頃
休日は,遅くとも8:00には起きるようにさせたいものです。
私は,子どもたちやそのご家族には
この生活リズムに近づけるように話しています。
優先度4:子供の困り感に焦点を当てて前約束をする
ネット・ゲーム依存になってしまった子に
制限を加えるには前約束をする必要があります。
そうすることで,反発が抑えられることがあるからです。
約束事はまず最初に決めておきます。
特に,かんしゃくや暴力があった時の大人側の対応は
子どもと共有しておく必要があります。
また実はこの時に大事なのは
子どもの困り間に焦点を当てることです。
ネットに夢中になるには,多くの場合で
現実の世界でうまくいかないからです。
本当は子どもだって苦しんで困っているのです。
この苦しさに焦点を当てて理解し
“一緒に現実を変えていく”というスタンスで
制限を加えていく必要があります。
優先度4:一貫性を持つ
一度,子どもと約束事を決めたのなら
それを変えてはいけません。
特に最悪なのは,その日の気分や都合で
ルールが変わってしまうことです。
子どもの将来のためにも,子どもと共有したルールは
一貫して守る必要があります。
約束した条件が満たせないなら
交渉に応じてもいけません。
優先度5:かんしゃくは徹底的に無視
これも一貫性と関係しているのですが
かんしゃくを起こしても徹底的に無視しましょう。
よほど危険なかんしゃくでなければ
一時的に感情が爆発することがあっても
次第に落ち着いてきます。
ですから,この段階では親が踏みとどまれなければなりません。
優先度5:暴力には屈しない
最悪の場合,ネット・ゲームを理由に暴力に至るケースもあります。
かんしゃくの段階で親が屈してしまうと
やがて暴力に発展します。
しかし暴力に屈服すれば再び
“暴れればいい”ということを学習してしまいます。
だからといって,
暴力でやり返せばよいということではありません。
子どもが暴れたのなら,警察を呼びましょう。
また,落ち着けることもあるのであれば
児童相談所や入院施設に行く必要があります。
家族のことを警察に通報するのは勇気がいるかもしれませんが
改善のためには暴力に屈しない姿勢を示すのは
大切なことなのです。
まとめ
以上,ネット・ゲーム依存になった子から
ネットを取り上げると起きることと
その対処法それぞれ6つを解説しました。
すでにネット依存が高くなってしまったお子さんに
対処していくためには作戦も必要です。
今となってはある程度のことがお伝えできるようになりましたが
こういうことが整理されるまでには
十分な支援やアドバイスができず歯がゆい思いもしました。
また,今でも十分ではありませんが
お子さんの健康のために,この記事がお役に立てば幸いです。
質問・感想やご相談は以下のリンクまで
お気軽におよせ下さい。
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