こんにちは ツナカンです。
ふだんは子育て支援機関でカウンセラーとして
子育てに悩む親ごさんや
不登校のお子さん
子どもに関わる大人を応援しています。
多くの不登校のお子さんに見られるのが生活リズムの乱れです。
中でも、睡眠の問題は子どもの心理的、身体的健康に大きな影響を及ぼします。
実感としては生活リズムの乱れが少ない子は
学校に復帰するのが早くなるし
学校に復帰しなかったとしても
なんらかの前向きなことをしています。
ですから、私は多くのケースでまずは生活リズムを
整えてもらうことを提案します。
そして生活リズムの肝は睡眠時間とタイミングです。
この記事では、多くの不登校の子が抱える睡眠の問題と
それを改善するための方法について解説します。
不登校の子どもと睡眠問題
ストレスや不安などの心理的な理由から
睡眠の質が低下することがあります。
最近のお子さんでは、学校でのストレスをネットゲームで
晴らす習慣が身についていることよく見られます。
そんなお子さんを育てる家庭の中によく見られることとして
- ネットを利用するためのルールがなく睡眠の課題を抱えている
- 家庭で話をする機会が少ない
- 子どもが悩んでいると「もっとしっかり」などと励ます
ということが見られます。
この記事では睡眠を中心にお伝えします。
「もっとしっかり」と励ますことの何がだめなの!?
と思うかもしれません。
ストレスを感じているお子さんはストレスから回避したがっているので
それと向き合わせようとすることそのものが、さらなるストレスになり
それがより回避を生みまたネット依存を強め
生活リズムの乱れを強めていくのです。
ですから、ネット利用のルールと親のかかわり方はワンセットで考える必要があります。
睡眠の乱れを表す病名とは
睡眠の乱れを表す症状に睡眠・覚醒相後退障害があります。
特に思春期や青年期に多く見られる睡眠障害です。
この障害を持つ子どもは、体内時計が遅れているため、
深夜遅くや朝方にならないと眠れず、
朝起きるのがとても辛いと言います。
本人の主張を受け止めることは大切ですが
生活を一緒にふりかえってみると
↓
ネットを使う
↓
脳が興奮している(本人に自覚なし)
↓
眠れない
という状態になっていることが少なくありません。
これについて親ごさんに管理を提案すると
注意しても聞かないし、とりあげようとすると反抗してくるからそのままなんです
学校でもタブレットが配られてるから制限できないです。
学校に行かなくてもネットで教材が配布されたりしてるから…
と言われることも多いのです。
問題なのは、睡眠障害かどうかでも
ネットを使うかどうかでもなく
ネットを娯楽としての使う時間が 深夜にまで及ぶ ということなのです。
これを理解せず、医療機関に行かせようとする
親ごさんは少なくありません。
症状:望まれる睡眠時間帯に対して眠りにつくのが遅く、朝起きるのが難しいため、学校に遅刻したり欠席したりすることが多い。
この障害は、しばしば 入眠困難型の不眠症 と誤解されがちですが
ちゃんと寝る環境が整っていないことを示しています。
通常の睡眠薬の効果は乏しいため
睡眠薬は一時的な対処となりますから
やはり睡眠環境を整えることが先決です。
治療法としては以下の方法が有効です
これらの方法は専門医療機関で
指導してもらえる方法ですが
家庭でできることも少なからずあります。
なぜなら、夜寝て朝早く起きる という原則に過ぎないからです。
親御さんや先生ができること
不登校の子どもをサポートする上で
家庭でできることや
学校にお願いしたいことことは以下の通りです。
- 安定した生活リズムを促す
- スクリーンタイムの管理
- 医療機関との連携
不登校のお子さんに対しては家庭と
学校の連携は欠かせませんが
生活リズムの乱れを修正するのは主に家庭です。
子どもが学校に行けなくなると
学校の対応のせいにしたくなる気もちは理解できるのですが
まずはお子さんに学校に行ける条件を整えましょう。
順番としては
- 子どもと将来について話し合う
- ネットの利用のルールについて話し合う
- 少しずつ生活リズムを整える
- 少しずつ学校にいられる時間を延ばせるよう応援する
です。
学校には常に状況を伝えますが、学校の出番は4番です。
学校はできるだけ柔軟に受け入れながら
お子さんが少しずつ学校に来ることに
慣れてもらうことが大切です
医者がすること
不登校の子どもが睡眠問題を抱えている場合、医者は以下のような対応を行います。
睡眠習慣の確認
- 日中の活動量、夜のスクリーンタイム(スマートフォンやパソコンの使用時間)、寝室の環境などを含めた生活習慣の確認
身体疾患・内服薬のチェック
- 不眠を引き起こす可能性のある身体的な問題や、服用している薬が不眠の原因になっていないか確認
- 不眠症以外の睡眠障害の可能性を探る
- 閉塞性睡眠時無呼吸、むずむず脚症候群、周期性四肢運動障害など、他の睡眠障害がないか調べる
精神疾患を抱える子どもたちは、不眠症状を伴うことが非常に多いです。
代表的な精神疾患には以下のものがあります
-
-
- 統合失調症
- 気分障害(うつ病、双極性障害)
- 不安障害
- パーソナリティ障害
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これらの疾患においては、原因になっている疾患の治療が最優先です。
不眠症状が強い場合には、以下のような薬物治療が行われます:
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-
- 抗精神病薬や抗うつ薬:これらの薬は不眠の症状を緩和することができます。
- ベンゾジアゼピン系睡眠薬:ただし、パーソナリティ障害や物質関連障害・嗜癖性障害がある場合には、慎重に処方されます。
-
精神疾患に併存する睡眠障害が疑われる場合は
早く専門医に相談することが推奨されます。
良くない習慣と薬の影響
不登校の子どもが持つ睡眠の問題を悪化させる習慣や
薬についても知っておくことが重要です。
良くない習慣
- 長い昼寝:特に15時以降に30分以上の昼寝をすることは、夜の睡眠に影響を与えます。
- 不規則な食事:乱れた食生活は体のリズムを崩します。
- シャワーですませる:入浴後に体温が下がることで眠気が来ます。シャワーは深部体温を上げにくいため経済的にも良くありません。
不眠を引き起こす可能性のある薬:
- ステロイド
- インターフェロン
- メチルドパ(降圧薬)
- レボドパ(抗パーキンソン病薬)
- プロプラノロール(β遮断薬)
- イソニアジド(抗結核薬)
これらの薬を使用している場合は
担当医に相談し適切な対応をとることが必要です。
まとめ
不登校の子どもが抱える睡眠の問題はさまざまです。
中でも 睡眠・覚醒相後退障害 と 精神疾患 に関連する問題は
特に注意が必要です。
親や先生が適切な知識を持ち早めに専門医と連携することで
子どもの健康と生活リズムを整えやすくなります。
睡眠はその基盤となる健康の柱の一つです。
家庭を中心に子どもの睡眠に注意を払い
適切なサポートをして子どもの心と体の健康を守りましょう。
【参考】
鈴木(2020)不眠の鑑別診断とその進め方.日大医誌 79 (6): 337–340
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