公認心理師のツナカンです。
ふだんは不登校のお子さん
子育てに悩む親ごさん
学校の先生を
心理師として応援しています。
子どもをカウンセリングに通わせたいのですが
なかなか子どもが行こうとしてくれません。
本当はじっくり話をしてもらって
苦しい気持ちを聞いてもらって
少しでも解決してもらえると良いのですが…。
カウンセリングに通わせ始めたのですが
『カウンセリングに行っても解決しない』
と決めつけてしまって
まだ1・2回しか行ってないのに
もう渋ってるんです。
どうやったらもっと乗せられますか?
こんな風に,お子さんを心配しているのに
肝心のお子さんがカウンセリングに通いたがらない
ということがあります。
そこで今回は
子どもをカウンセリングに誘う方法
についてお伝えします。
お子さんがカウンセリングのモチベーションを高めるためには
声のかけ方を工夫する必要があります。
なぜなら,相談する人の主体性は
治療の効果に大きく影響するからです。
お子さんの
カウンセリングへのモチベーションを高めるポイントは
以下のとおりです。
- 肯定的な伝え方をする
- 親が先にカウンセリングを受ける
- タイミングを見計らう
子どもにカウンセリングを受けてもらうための3つのポイント
カウンセリングはまだまだ身近ではありません。
「カウンセリングに行くなんて心が病んでるんだ」
そんな見方は,昔からずっと変わりません。
わたしが,かけだしのころからずっとあります。
ですから,お子さんに必要だと思ったら
少しでも足が向くように
声のかけかたを工夫する必要があります。
- 肯定的な伝え方をする
- 親が先にカウンセリングを受ける
- タイミングを見計らう
一つずつ解説していきます。
①肯定的な伝え方をする
こんな声かけをしてみてください。
「~すると…な良いことがある(かも)よ。」
なぜなら,肯定的な伝え方をした方が
抵抗感を下げることができるからです。
具体的には
「カウンセリングに行くと,今より楽になる方法を教えてくれるよ」
とか
「カウンセリングに行くと,今とはちがう考え方もできるようになるよ」
といった具合です。
お子さんのコンディションが
あまり良くないと
親は当然あせります。
するとやってしまいがちな声かけが
「~しないと…になっちゃうよ!?」
です。
わざとではないでしょうが,危機感をあおって
子どもをコントロールしようとするのです。
それでうまくいったとしても
数回カウンセリングに通うくらいです。
たいていの場合は
「うるさい!」と反発されるか
ムシされるかのどちらかです。
ですから,肯定的に伝えるのです。
②親が先にカウンセリングを受ける
お子さんが受けたがらない時には
親御さんが先にカウンセリングを受けると良いでしょう。
なぜなら,お子さんにとって親御さんは
一番近い “環境” だからです。
親の関わり方が変わるということは
子どもにとっての環境が変わるということです。
人は,自分が思っている以上に
環境に左右されるものです。
親がカウンセラーと一緒に
関わり方を変えることで
子どもの行動も変えられることは少なくありません。
実際に,わたしも面接を受けたがらない子の親ごさんと面接します。
すると,カウンセリングを受ける前までは
お子さんを責めるような対応をしていたのに
カウンセリングを受ける中で
お子さんに対するアプローチを変えて
少しずつお子さんとの関係を変えていく方もいらっしゃいます。
また,この記事にあるようなアイデア以外にも
直接やりとりをしなければ伝えられない方法もあります。
ですから,お子さんがカウンセリングを渋るのであれば
親ごさんが先にカウンセリングを受けてみると良いでしょう。
③タイミングを見計らう
カウンセリングに行くように伝えるなら
タイミングを見計らいましょう。
“タイミング”には2つのポイントがあります。
子どもが困っているタイミング
子どもが話をきけるタイミング とは
親の話に注意が向いている時です。
ですから,子どもが何かに夢中になっているとか
あまりにも気持ちに余裕がない時に
「大事な話なのだから,子どもは話をきくべきだ」
というような上から目線で向き合うと
子どもからは嫌がられてしまいます。
ですから,子どもが話をきけるタイミングを探します。
次に, 子どもが困っている についてお伝えします。
結論は
ガマンできなくなるまで様子を見る
です。
周りの人から見て,カウンセリングを受けた方が良いと思っていても
子どもは本当に必要性を感じていなかったり
抵抗感から,必要性を感じないようにしていることもあります。
まるで虫歯のようです。
そんな時は,
“ガマンできなくなるほど痛くなるまで待つ”
というのも一つの方法です。
ただし,これについては
緊急性があまり高くないときの方法です。
子どもの希望が高まるまで
命の危険がないように気を配る必要があります。
子どもがカウンセリングを受けるようになったら親ができること
もちろん,カウンセリングが始ったからといって
あとは問題が解決するわけではありません。
子どもがカウンセリングを始めることになったら
以下のような点に気を付けると良いでしょう。
- カウンセラーとの情報交換
- 子どもとの話し合い
- カウンセリングが続くようにする
- 親のカウンセリング
①カウンセラーとの連絡・連携
子どものカウンセリングが始まったら
短い時間でも良いので
カウンセラーと話せるようにしましょう。
なぜなら,カウンセリングと生活はリンクしているからです。
せっかくカウンセリングで介入しても
カウンセラーと正反対のことをしていては
治療的な効果が生まれにくくなります。
極端なことをいうと
カウンセラーがやさしく話をきいていても
家で虐待されているようならば
まったく意味はありません。
ですから,子どものカウンセリングが始ったら
親もカウンセラーと話す時間を持ちたいものです。
ただし,カウンセリングの流派によっては
子どものカウンセリングを担当するカウンセラーが
親と話をすることを良しとしないことがあります。
そういった場合には
親はどのように対応すべきなのかを
最初のうちにカウンセラーに聞いておくとか
ちがう流派のカウンセリングに
切りかえることを考えても良いでしょう。
②子どもとの話し合い
カウンセリングを始めたら
お子さんと話し合う時間を持つのも良いでしょう。
「カウンセリングで何を話している!?」
などと聞くのはあまりよくはありませんが
お子さんの主張や表情,態度が変わることもあります。
そうすることで,親もカウンセリングによる変化に
気づくことができる機会になるのです。
ですから
心の問題はカウンセラーにおまかせ
ではなく,カウンセラーと連携しながら
お子さんにとって良いかかわりを
家の中で増やせるようにしましょう。
③カウンセリングが続くようにする
カウンセリングが続くようにします。
カウンセリングは話をよく聴くイメージがあるでしょうし
その通りでもあります。
しかし,関係ができてきたら
こんなことが増えてきます。
- 辛い気持ちになるような話をすること
- 面倒な作業がある
- マンネリする
その頃に,カウンセリングをやめたくなります。
これは自然なことなのですが
これらを乗り越えたあとに
じわじわと変化を感じられるようになるのです。
ですから,カウンセリングが途中で終わってしまわないよう
お子さんを支えていきましょう。
④親のカウンセリング
親も,必要に応じてカウンセリングを受けましょう。
今まで自分だけでは
気づけなかったような
関わり方や,考え方に気づけることができるでしょう。
時には親御さん自身の経験を
振り返る必要もあるかもしれません。
子育ては,親の生い立ちが
反映されやすいものです。
実際,親ごさんも
私は「~すべき」と言われて
育てられてきて,そして親になりました。
だからそれが当たり前だと思って
こどもに接してきました。
でも,それは変えた方がいいんですね…
という気づきをえられることもあります。
さらに,親が一緒にカウンセリングを受けることで
お子さんにも,親御さんが変わろうとしている努力が伝わります。
親は毎日が忙しいとは思いますが
子どもほど多くなくても良いと思うので
定期的にカウンセリングを受けることを
おススメします。
こんな風に子どもに声をかけました。
子どもの生活のリズムがおかしくなってしまいました。
そのことで,ずっと声をかけてきたけど
どうにもなりませんでした。
そこで心の問題かもしれないと思い
カウンセリングについて調べてみました。
良さそうなところがあったので
子どもを誘ったのですが
『カウンセリングに行ったって変わらない』
というだけでした。
しかたなく
まずは自分がカウンセリングに言ってみて
話をきいてみることにしました。
カウンセラーは親切で話をよくきいてくれました。
なおのこと,子どもにも会ってもらいたいと思って,
子どもにもすすめたのですが
やっぱり『言ってもムダ』と言って
話をききませんでした。
そのこともカウンセラーに相談してみたら
「『今はあまり困ってないのはわかるんだけど
あなたの良い部分をもっと伸ばせる方法があるんだって。
ちょっと面倒くさいと思うかもしれないけど
お母さんが話をしたらとてもいい人だったよ。
だから,一度話をしてみない?』
こんな風に声をかけてみてはどうでしょう?
人は,否定的な言い方をされると
いいものでも悪く受け止めてしまいがちですから。」
と言われました。
カウンセリングで,何度か練習して
声をかけてみました。
そしたら,子どももしぶしぶだけど
一度は面接してみる気になってくれました。
最初は,子どもも半信半疑だったみたいだけど
話しているうちに『次も行ってみてもいいよ。』と
言ってくれました。
最初に,早いうちに
わたしがカウンセラーに相談してみて良かった。
わたしだけだったら,こんな風に声をかけられないで
しつこく誘ってしまったと思うし
そうしたら余計にカウンセリングから
足が遠のいてしまったと思います。
今は,子どもはカウンセリングに
定期的に行くようになりました。
生活のリズムはまだ完全に良くなってはいませんが
どうやったら生活のリズムが変えられるのか
親子で一緒に考えられるようになりました。
声のかけ方というのは
実はけっこうむずかしいものですから
そういうコツを教えてもらうのもありです。
まとめ
今回は
子どもをカウンセリングに誘う方法
について解説しました。
カウンセリングには
まだまだ偏見があります。
子どもにとっても不安は大きいでしょうし
なかなかスムーズにカウンセリングを受けてくれないこともあります。
また,どのように声をかけられて
カウンセリングに行くことになるのかも
その後の経過を大きく左右します。
どんな風に誘って良いのかわからないときは
その時点で,親ごさんがカウンセリングを利用してみましょう。
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